​サッカー観戦
路上でウォッカをがぶ飲みしている男たちがいる。白昼堂々。おいおい、いくらケニアでもそれは捕まるぞ、と思うと、連中は奇声を上げてスタジアムに突進した。こりゃ面白いものが見られそうだ。

晴れた日曜日、知人から「サッカーを観に行かないか」と連絡があった。そいえばケニアにもプロリーグがあったんだ、まだ見たことなかったなと、足を運んでみた。初めての経験は何でもいいもので、驚きの連続だった。

さっきの連中は序の口で、酔っぱらいはそこかしこにいる。駐車した車がチケット売り場になっており、エキサイトしたサポーターがかろうじて並ぶ。刑務所の塀にも見える壁を抜けると驚いた。コートはまあまあだが、観客席があるのはコート中心部の両脇だけで、それ以外のゴール裏などはただの草の丘だ。ナイロビ第3のスタジアムとはこんなものか、と客席の方に行ってみると、これがもう嵐のコンサート並みに(行ったことないけど)ぎゅうぎゅうで、仕方なくフェンスによじ上って観てると「ここに入れ」と僅かなスペースを空けてくれた。こういう時のケニア人は優しい。


試合はGOR MAHIAというルオ民族の人気チームで、98%がその応援だ。逆チームのサポーターは殺されるな、と観てると、実際すごいのなんの。Gチームのプレイに合わせて観客は一心同体。歓声とため息がこだまし、まるで僕は巨人の喉の中にいるようだった。仮装した熱心なサポーターが笛を拭きながら踊り、大いに盛り上げる。

気の毒なのはライン審判で、Gチームのオフサイドを取る度にありとあらゆるヤジが飛ぶ。曰く「てめえは売春婦だ!(もちろん男です)」「目ぇついんてんのか!」「金返せ!メシ買ってこい!」罵声に合わせて数々のペットボトルや缶も飛ぶ。カラだとあまり飛ばないので、中身が入ったまま投げる奴がいる。それが審判の背中にばしっと当たる。すかさず「それ返しやがれ!」と追撃。黙々と仕事をする審判。

そのうちサポーター同士で喧嘩が始まる。隣りの男が突然、着ていたランニングをビリビリに破き、裸踊りを始める。もう何でもありである。


僕は経験上、集団心理の怖さを知っている。こんなところに二人だけいる外国人は格好のカモだ。ここでカメラを出したら明らかにもぎ取られるか、ぺちゃんこにされる。というわけで最後の方にそっと撮った一枚です。

                                              



試合は結局ゴールレスだったけど、プレイよりも観客を見ている方がはるかに面白ろかった。やっぱアフリカ(の魅力)は人だなぁ。
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